通勤手当の非課税限度額の改正について
2026-06-11

2025年(令和7年)と2026年(令和8年)の2段階にわたり、
自動車や自転車などの「交通用具使用者」を対象とした大幅な
引き上げ・拡充が行われました。
確認してみましょう。
【1】改正の背景
近年のガソリン価格の高騰や物価上昇を背景に、マイカー・自転車通勤者の
負担軽減を目的として実施されています。
なお、電車やバスなどの「公共交通機関のみ」を利用する場合の
非課税限度額(最高限度:月額15万円)に変更はありません。
【2】制度内容
(1)駐車場代の非課税枠が新設(2026年4月〜)
勤務先の周辺や、通勤で利用する駅の周辺にある駐車場(駐輪場)
を自己負担で利用している場合、これまでの距離別限度額に加えて
月額5,000円を上限に非課税枠に加算できるようになりました。
(片道2km未満は除きます。)
(2)片道65km以上の遠距離区分が細分化・引き上げ(2026年4月〜)
これまで片道55km以上は一律38,700円で頭打ちでしたが、
長距離通勤者の実態に合わせて65km以上が5km刻みで細分化され、
最高で月額66,400円まで非課税枠が拡大しました。
(3)中距離(10km〜55km)の非課税額引き上げ(2025年4月遡及適用)
片道10km以上55km未満の各区分について、
数百円から数千円規模の引き上げが行われました。
【3】通勤手当とは
従業員が自宅から勤務先まで通勤するためにかかる費用を、
企業が補助目的で支給する手当のことです。
毎月の給与に上乗せして支給されることが一般的です。
(1)通勤手当は課税されるのか
原則として、通勤手当は会社から受取る給料や賞与と同じ「給与所得」に含まれます。
企業が従業員に支給した通勤手当のうち、国が定める非課税限度額の範囲内
であれば税金がかかりません。
しかし、非課税限度額を超えて支給した金額については
給与として扱われ、課税対象となります。
(2)通勤手当は社会保険上では報酬として扱う
所得税や住民税の計算においては、一定額まで非課税となる通勤手当ですが、
社会保険料(健康保険や厚生年金保険など)の計算においては、
「全額報酬」として扱います。
【4】変更により考えられる影響
(1)従業員側
今回の制度改正で自動車などの交通用具使用者の非課税となる範囲が増えるため、
所得税の課税対象となる範囲が減少します。
これに伴い、特に遠距離通勤の方は手取りが増加する可能性があります。
(2)企業側
下記2点について確認する必要があります。
①給与計算や年末調整計算への対応確認
国税庁などからの情報と自社の影響範囲を照らし合わせて適切に対応しましょう。
給与システムの変更も発生するため仕様を確認することも大切です。
②就業規則の確認
多くの企業では事務処理を円滑に遂行するため、
通勤手当支給額を非課税限度額と同等の金額にしています。
この場合、今回の制度変更で社内での通勤手当支給額が非課税限度額を
下回る場合が出てくるかもしれません。
その場合は就業規則の見直しが必要です。
今回の改正は比較的身近な金額の改正となります。
長距離通勤の従業員がいる場合は注意しましょう。
税理士法人だいち 日野事務所 税理士山口


