「年収の壁」整理しましょう!!
2025-05-08
年収の壁は税金だけでなく、社会保険に関する壁も存在します。
少し整理してみましょう。
【1】年収100万円の壁(住民税)
住民税の壁です。住民税は、お住まいの都道府県・市区町村に支払う税金ですが、
原則的には、年収93万円~100万円を超える人が課税対象になります。
(都道府県・市区町村によって、異なります。)
●令和8年課税分(令和7年度所得基準)からはこの壁は110万円となります。
【2】年収103万円の壁(所得税)
所得税の壁です。所得税は、所得に応じて支払う税金ですが、
所得からは、ほぼすべての人が適用できる基礎控除48万円と、
給与所得控除55万円(給与収入が162万5000円まで)を差し引くことができます。
つまり、妻の年収が103万円以下であれば、103万円―48万円―55万円=0となり、
所得税はかかりません。しかし、103万円を超えると、所得税がかかるようになります。
●令和7年からはこの壁は160万となります。
所得に応じて数字は変わります、前月のブログ参照してください。
【3】年収106万円の壁(社会保険)
社会保険の壁です。配偶者が次の5つの条件をすべて満たした場合、
配偶者は社会保険上の扶養から外れ、勤め先の社会保険に入ることになります。
① 労働時間が週20時間以上
② 月収が8万8000円以上(8万8000円×12ヶ月=105万6000円≒106万円)
※月収に残業代や交通費は含まない
③ 勤務期間が2ヶ月超の見込み
④ 勤務先の従業員が51人以上
⑤ 学生ではない
●今後、④の企業規模要件を段階的に撤廃する方針が示されています。
【4】年収130万円の壁(社会保険)
会社の規模が小さいなどで、106万円の壁の条件を満たさない場合でも、
配偶者の収入が130万円を超えると、すべての人が社会保険に加入することになります。
配偶者は、勤務先の厚生年金、健康保険に加入するか、
国民年金、国民健康保険に加入します。
●この壁の増額は今のところ予定がありません。
【5】配偶者手当について
人事院の「令和6年職種別民間給与実態調査」によると、
配偶者に家族手当を支給する企業は約54%で、この9割近い企業が
配偶者の収入による制限を設定しています。
配偶者の収入制限は「103万円」とする企業が約43%、
「130万円」とする企業が約34%となっています。
この制限も税金・社会保険と並び「壁」を形成する要素となっています。
令和7年度の税制改正で所得税の103万円の壁が160万円へと
大きく増額されましたが、住民税・社会保険の壁はこれにリンクしていません。
思わぬ税負担等が発生しないように、制度内容を理解しておくことが重要です。
山口会計 山口