月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

死因贈与とは・遺贈との対比

2022-03-03

相続発生時に財産を引き継がせる方法として「遺言」がありますが

同様な効果がある「死因贈与」について確認しましょう。

【1】死因贈与とは

 (1)死因贈与とは、生前に贈与者と受贈者が合意して、

  「贈与者が死亡したときに財産を移転する」内容の贈与契約をすることです。

 

 (2)贈与契約なので、両名が話し合って合意する必要があります。

  口頭でも契約が成立しますが、トラブル防止のために

  「贈与契約書」を作成する方が安心です。

  死因贈与は基本的に特定財産を目的としますが、

  包括的な死因贈与も可能です。

  ただしその場合でも、受贈者は贈与者の「債務」を承継しません。

  死因贈与では、希望する人に希望する財産を残すことができます。

  このような性質が遺贈とよく似ているので、

  法律上も多くの点で遺贈と同じ取扱いを受けます。

 

【2】遺贈とは

 「遺贈」とは、遺言によって相続人や相続人以外の人に財産を引き継がせることです。

 

【3】死因贈与のメリット・デメリット

 (1)メリット

  当事者両名が合意する契約なので、

  贈与者の死後に一方的に破棄される心配はありません。

  また「負担付死因贈与」をしておけば、

  生前にも負担を求めることができます。

 

 (2)デメリット
 
  相手の合意が必要なので、一方的に贈与することができません。

  また不動産を贈与するとき、不動産取得税がかかります。

  また登録免許税も軽減されないため、

  受贈者が法定相続人であっても税金の負担が大きくなります。

 

【4】遺贈のメリット・デメリット

 (1)メリット

  相手(受遺者)の同意がなくてもできることです。

  遺言者が単独で遺言書を書けば完了するため、

  死ぬまで内容を秘密にすることもできます。

 

 (2)デメリット

  遺贈は一方的にできる反面、受遺者から放棄される可能性があります。

  放棄されたら、遺言者の希望を実現することは不可能です。

  また遺言には厳格な要式(ルール)があり、

  少しでも違反したら無効になります。

  特に遺言者が自分で書く「自筆証書遺言」は

  無効になりやすいので注意が必要です。
 

【5】「死因贈与」と「遺贈」との使い分け

 (1)死ぬまで家族に絶対に知られずに財産を残すなら

  遺言によって遺贈する方法がお勧めです。

  死因贈与と異なり、単独で遺言を作成しておけば良いため、

  高い秘密性があるからです。

 

 (2)法定相続人に不動産を残すなら

  不動産取得税がかからない遺贈のほうが適切です。

  死因贈与の場合、受贈者が法定相続人であっても不動産取得税がかかるため、

  高額の税負担を強いられることになるからです。

 

 (3)生前に負担を求めたいなら

  生前に身体の調子が悪くなったため親族などに介護を頼みたい場合には

  「負担付死因贈与契約」がお勧めです。 

  例えば「介護するのと引換に、死後に不動産を譲る」等が可能です。

 

 (4)遺産を放棄されるかもしれないとき

  放棄する可能性のある人にも、確実に財産を残したいときは死因贈与がお勧めです。

  生前に子どもとしっかり話し合ってお互いに合意した上で「死因贈与」

  によって財産を残せば、放棄される心配はありません。

 

【6】税金について

  死因贈与を行った場合には受贈者に対して「贈与税」ではなく

  「相続税」が課されることになるのでご注意ください。

 

  死因贈与はあまり見かけませんが、ケースによって有効な手段です。

  参考にして下さい。
 

  山口会計 山口
 

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