アルバイト・パートの方の年収の壁
2025-09-11
12月の年末調整が近づくと
アルバイト・パートで働く方は
年間収入の調整をする方が多いと思います。
令和7年分の目安を考えてみます。
【1】扶養親族の範囲内で働く方
(1)令和6年まで103万以内で働いていた方
これまで所得税のかからない範囲内だった「103万円」
という数字を基準に働いていた方については
改正により労働時間やシフトの日数を増やすなど
働き方の幅を広げることができる様になりました。
令和6年までは
1,030,000(給与収入)―550,000(給与所得控除)=480,000(所得)
480,000(所得)―480,000(基礎控除)=0
★所得が48万以内であれば扶養親族となっていました。
(2)160万以内であれば所得税はかかりません
令和7年より160万円以内であれば所得税が
かかりません。給与所得控除と基礎控除が増額されたためです。
1,600,000(給与収入)―650,000(給与所得控除)=950,000(所得)
950,000(所得)―950,000(基礎控除)=0
①所得税は0円となります。
②しかし所得95万 > 扶養要件所得58万
なので扶養親族にはなれません。
★令和7年より所得が58万以内であれば扶養親族となります。
働いた方本人の収入が160万円以内であれば
所得税はかからなくなりましたが
この影響で主たる給与所得者の所得税が増加することになります。
ただし配偶者の場合は配偶者控除が適用できなくなっても
配偶者特別控除が適用できるので影響は段階的になります。
(3)社会保険料・住民税の負担
一定の年収(約106万・110万・130万)を超えると
社会保険への加入が必要になる場合があるとともに、住民税が
課税されます。社会保険料を支払うと、年収によっては手取り額が
減ってしまう場合があります。
①106万・従業員数51人以上の企業で働く場合に勤務時間・日数等の条件に
該当すると社会保険料の負担が生じます。
②110万・住民税(均等割り)が課税される基準です。
③130万・勤務時間・日数等の条件に該当すると社会保険料の負担が生じます。
【2】学生アルバイトの場合
(1)上記【1】と同様の取り扱いになっていますが、
親の所得税について下記のような特例があります。
19歳以上23歳未満の子供を持つ親を対象とする特定扶養控除について、
子供の年収要件を引き上げる方針が示されました。
この改正により、大学生などのアルバイト収入が増えても、
親が受けられる税制上の優遇措置が維持されます。
123万円を超えたあとは「特定親族特別控除」となり、
150万円を超えた後も、控除額を段階的に減らす仕組みを導入し、
収入が増えたにも関わらず世帯としての手取りが減ることは
できるだけないように考慮されています。
①対象者:19歳以上23歳未満の扶養親族を持つ納税者
②子供の年収要件:103万円以下から150万円以下に引き上げ
③控除額:所得税63万円、住民税45万円(変更なし)
④適用開始時期:令和7年分
(2)学生本人について
上記(1)は親の所得税上の特例です。
学生本人については他の扶養親族と同様に【1】の取り扱いで
考えるので、社会保険等を考慮に入れて働くことが必要です。
まとめると
①110万円超・住民税がかかる
②130万円超・親の健康保険から外れる
③150万円超・親の所得税負担が増える
④160万円超・本人に所得税がかかる
基礎控除・給与所得控除については本人の年収に応じて
金額が変わります、年末に予定外の税額とならないように
早めに確認することが重要です。
山口会計 山口