月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

平成26年税制改正大綱(簡易課税関係)

2013-12-25

平成26年分の税制改正に向けた大綱が先日発表されました。

中でも中小企業に影響が出る部分のうち簡易課税関係について記載します。

*** 消費税の簡易課税制度のみなし仕入率の見直し ***

 消費税の簡易課税制度のみなし仕入率については、会計検査院から

実際の課税仕入率とのかい離が大きい業種があるとの指摘を受けたことを踏まえ、

下記の変更がなされます。

【1】変更内容

1)金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を50%(現行60%)とする、

2)不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入率を40%(同50%)とする

この改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用される。

【2】簡易課税とは(概要を簡単に)

消費税の納税義務者のうち、前々年・前々事業年度の課税売上高が5000万円以下で

簡易課税を選択した事業者が簡易課税を適用出来ます。

原則的な消費税の納税額の計算方法は、

預かった消費税分 − 支払った消費税分 = 納税額

ですが、簡易課税は「支払った消費税分」を率(みなし仕入率)

で計算できるので、集計作業が比較的簡単になります。

今までのみなし仕入れ率は 

第一種事業 90% 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更
             しないで他の事業者に対して販売する事業)

第二種事業 80% 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更
             しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)

第三種事業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)
         電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種、第二種事業
         に該当するもの及び
         加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。

第四種事業 60% 第一種、第二種、第三種及び第五種事業以外の事業をいい、
         具体的には、飲食店業、金融・保険業などです。
         なお、第三種事業から除かれる
         加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も
         第四種事業となります。

第五種事業 50% 不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)
         をいい、第一種から第三種までの事業に該当する事業を除きます。

の5区分となっていました。

【3】改正の影響

このうち今回改正となる金融業・保険業及び不動産業については、みなし仕入れ率で

計算する消費税の方が実際に「支払った消費税」よりも多くなる傾向が鮮明にでている

ということで、みなし仕入れ率を少なくする改正となっています。

結果としては、預かった消費税からマイナスする消費税が少なくなるので、納税額が

増えることとなります。

たとえば不動産業の場合

・前提 税抜課税売上が4000万円の場合(消費税は5%で計算します)

①改正前
  40,000,000×5%−40,000,000×5%×50%=1,000,000(納税額)

②改正後
   40,000,000×5%−40,000,000×5%×40%=1,200,000(納税額)

③増加額
 ②−①=200,000・・・・となります。

【4】実務上の問題

今回の改正が確定すると平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用

されるので、特にみなし仕入率が変更となる業種については、適用課税期間が

開始される前に簡易課税を選択するのか、原則的な計算方法を選択するのか

再度検討が必要となります。

消費税率の改正と併せて今後継続的に気をつけるべき事項です。

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