月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

親子間でも贈与、税務署が注目しています!!

2022-09-07

相続対策や子供の家計支援のため

親から子に財産を贈与することは多いと思います。

親が子どもの面倒を見るのは当然なので、

贈与をしても問題ないのでは?と思いがちです。

贈与税がかかるケースもあるので注意が必要です。

 

 

【1】親子間で贈与税がかからないケース

(1)生活費や教育費

 子どもの日常生活に必要な費用である生活費や、教育に必要な学費や教材費などの、

 教育費について、必要な時に直接贈与するものについては、贈与税はかかりません。

 ただし、生活費や教育費として贈与を受けた場合でも、それを預金したり、

 株式や不動産の購入資金など他の用途に充てたりしている場合は、

 贈与税がかかりますので注意が必要です。

 

(2)基礎控除額までの財産

 贈与税には、110万円の基礎控除額があらかじめ定められています。

 そのため、年間1人につき110万円以下の贈与については、

 贈与税がかかりません(申告も不要です)。

 

【2】親子間で贈与税がかかるケース

(1)複数人からの贈与

 1年当たり110万円という基礎控除額は、贈与をした人ごとにあるのではなく、

 贈与を受けた人についての年間の基礎控除額となります。

 そのため、同じ年に両親から100万円ずつ贈与を受けた場合などは、

 110万円の基礎控除を除いた90万円の部分については贈与税が発生します。

 (100万+100万)― 110万 = 90万・・・基礎控除オーバ-部分

 

(2)生命保険の満期金

 親が保険料を負担していた生命保険について、満期や解約、

 親以外の被保険者の死亡によって子が生命保険金を受け取った場合は、

 親から子への生命保険金の贈与があったとされ、贈与税の対象となります。

 

(3)時価より安く不動産を売買

 親から子へ著しく安価で財産の譲渡が行われたときは、

 その財産の時価と実際の金額との差額は贈与となり贈与税がかかります。

 

(4)不動産購入時の負担割合と登記割合の違い

 親子が共有で住宅を取得する場合に

 親子の負担割合が「親40%・子60%」の時に

 登記した割合が「親10%・子90%」とすると

 その差額の30%が親から子への贈与とされます。

 

(5)建物を増築する場合の注意
 
 子名義の建物を増築する際に親がその費用を負担した場合

 その増築部分は所有者である子の所有物となりますので、

 子が親にその費用を支払わないときは、親から増築費用の贈与を受けたとして、

 贈与税が課税されます。

 しかし、親が支払った増築部分の持分について、

 子から親へ持分移転させて共有とすることで、贈与税は非課税となります。

 

(6)無償による名義変更

 親が自宅や株式の名義を無償で子に変更した場合も

 親から子への贈与とされます。

 

(7)借入金の肩代わり

 子が借入金を親に肩代りしてもらった場合も

 子は肩代わりしてもらった金額分の利益を受けたことになり

 贈与の対象になります。

 

(8)親から金銭を借りる

 親子など特別の関係がある人同士の金銭の貸借については、

 本当にお金に困っている状態であると認められる場合、

 その借入金は贈与となりません。

 しかし、「ある時払いの催促なし」「出世払い」という貸借は、

 実質的に贈与となるため、借入金について贈与税がかかります。

 

【3】税務署の把握方法

(1)法定調書

 金融機関などは一定の資金の支払をした場合には

 税務署に「法定調書」を提出します。

 代表的なのが生命保険金の調書です。

 生命保険会社は保険金の支払いの中身を記した法定調書を
 
 税務署に提出する義務があります。

 例えば満期金の契約者(保険料負担者)が親、受取人が子で

 贈与税の基礎控除110万円を上回る場合などに注目します。

 

(2)他の税金の申告書を調べる

 例えば住宅ロ-ン控除の申告書類を調べて

 不動産の購入金額に比べて年収やローンの金額が少な過ぎれば

 贈与を疑います。

 

(3)不動産の登記内容を独自に調べる

 国税庁は法務省から毎月、不動産の所有権の移転登記の情報を

 得ているので、名義変更があった場合に

 「お買いになった資産の買入価額についてのお尋ね」

 という質問文書を送付する場合があります。

 購入金額と借入金、自己資金との差額が多いのに明確な回答がない

 など贈与が疑われるものをあぶり出す狙いがあります。

 
(4)海外送金

 金融機関は1回当たり100万円超の海外への送金や海外からの入金について

 その中身を記した法定調書(国外送金等調書)を税務署に提出します。

 海外に居住する親族への送金について税務署から問い合わせが来ることが

 あり、使途の内容次第では贈与を疑われます。 

 税務当局は親子間の贈与に対してはかなり注目しています。

 贈与税がかかると思わず、うっかり申告しないで、追徴課税される

 例もあります。

 注意が必要です。 

 

 山口会計 山口

 

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