月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

相続に関する民法改正

2018-08-01

相続に関しての民法改正が平成30年7月6日可決成立しました。

大幅な改正になるので、まずは概要を確認します。

 

 

 

 

 

 

[1]配偶者居住権の創設

 

 



住宅の権利を「所有権」と「配偶者居住権」に分割します。

配偶者は居住権を取得すれば、仮に建物の所有権を

他の相続人が相続したとしても、原則無償で建物に住み続けられます。

また財産評価上、配偶者居住権は所有権より低く評価されるため、

配偶者は建物の所有権を取得するよりも

他の預貯金等の遺産をより多く相続出来る可能性が出てきます。

[2]遺産分割に関する改正

婚姻期間20年以上の夫婦間で、配偶者が生前贈与や遺言で

居住用不動産を譲受けた場合、その居住用不動産は

「遺産とみなさない」として遺産分割の計算対象から

除外されます。配偶者にとっては、他の財産を相続できる

可能性が増え、老後の生活の安定につながります。

[3]自筆証書遺言に関する改正

自筆証書遺言は「全文を自書」で書かなければ無効とされる等、

遺言者にとっては遺言作成にかかる負担が軽くありませんでした。

また、誤字等によるトラブルの可能性もありました。

そこで、財産の一覧を示す「財産目録」はパソコンでの作成

が可能となりました。

[4]生前に介護や看病で貢献した親族に考慮した制度の創設

法定相続人でない親族が被相続人の介護や看病をする場合、

この親族に対しては遺言がない限り、介護や看病に対して

何らかの報酬を受けることはできませんでした。

新たな改正案では、相続人ではない親族も、被相続人の介護

や看病に貢献した場合は金銭請求できるようになります。

[5]金融機関の「仮払い制度」の創設



 

 



現状、銀行等の金融機関は、遺産分割協議が成立するまで

原則として故人の遺産の払戻や名義変更に応じてくれません。

そのため、生活費確保や葬儀費支払いに支障をきたす場合もあります。

そこで、遺産分割協議が終わる前でも、生活費や葬儀費用の支払いなど

のために故人の預貯金を金融機関から引き出しやすくする

「仮払制度」が創設されました。

[6]自筆証書遺言を法務局で保管できる制度の創設

自筆証書遺言は遺言書の存在が相続から何年も経過した後に発見されて

遺産分割協議がやり直しになったり、発見した者が変造したり

破棄してしまって遺言が執行されない危険がありました。

そこで法務局が自筆証書遺言を保管する制度が創設されます。

さらに法務局が保管する自筆証書遺言については、

家庭裁判所の検認手続きが不要となります。

[7]施行日

改正民法は、今後公布されてから最大2年を超えない範囲内において

政令で定める日から施行されます。

実際は上記[1]から[6]までのそれぞれについて施行日が違いますので

今後の動きを注視しなければなりません。

改正内容についての不明点なども多々ありますが今後施行に向けて

詳細が明らかになると思われます。

今後このブログでも追っていきたいと思います。

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