月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

電子帳簿保存法・2022年1月施行予定の法改正

2021-09-08

     電子帳簿保存法とは

     国税関係帳簿書類の保存をこれまでの紙文書ではなく、

 電子データでの保存を認めた法律です。

 従来は会計帳簿や決算書などの書類は紙で保存することが基本でした。

 紙で取り扱っている証憑類は、通常最低でも7年間の保管が必要でしたが、

 電子帳簿保存法に対応すれば1年ごとに証憑類を破棄することが可能です。

 電子データは、紙の書類をスキャナで読み取ったもの、

 もしくは電子取引データが認められています。

 

【1】2022年1月予定の法改正

 電子化適用のための要件が多くあったため、

 多くの企業は紙文書電子化に大きく踏み出すことが出来ませんでした。

 利用企業が極端に少ないという現状を打破するために、

 2022年1月予定の法改正では多くの企業が導入に踏み込めるように、

 大幅な要件緩和がなされる予定です。

 

【2】改正ポイント

(1)承認制度の廃止

 国が求める基準を満たし、

 さらに電子帳簿保存法に対応した機能を備えているスキャナや

 会計システムなどが準備でき次第、

 速やかに電子保存への対応が可能になりました。

 税務署への事前承認申請がなくなりました
 

(2)タイムスタンプ要件の緩和

 スキャナ読み取りの際の受領者の署名は不要となりました。

 また、タイムスタンプの付与期間が3日から最長2ヶ月以内

 に変更され、担当者の対応に余裕が生まれます。
 

(3)適正事務処理要件の廃止

 相互けん制、定期的な検査および再発防止策の社内規程整備を

 行う適正事務処理要件が廃止されました。

 原本は、スキャナ後にすぐに破棄が可能になります。
 

(4)検索要件の緩和

 検索要件が年月日・金額・取引先のみになるなど簡素化されました。

 保存義務者が国税庁などの要求によって電子データのダウンロード

 に応じることとする場合は、範囲指定や項目を組み合わせて設定する

 機能の確保も不要になります。

 

【3】メリット

(1)印刷・保管コスト削減

 帳票・書類を紙で保存する必要がなくなり、用紙やインク、

 印刷等のコスト削減を実現します。

 また、年度別に書類を保管する手間や、保管場所の確保が不要となり、

 業務削減やオフィスの省スペース化にも繋がります。

 

(2)テレワーク対応

 紙の書類の場合、内容を確認したり保存管理するために

 必ず誰かが出社する必要があります。

 書類を電子化することで遠隔地からデータを確認出来るため、

 全社的なテレワーク対応が可能となります。

 

(3)セキュリティ強化

 例えばクラウドなど電磁的記録へ帳票・書類データを保存することにより、

 紛失・滅失リスクが削減されます。

 もしもの事態に備え、定期的なバックアップを行うことで、

 データ消去等のリスクを防止することができます。

 

【4】まとめ

 電子帳簿保存法の改正によって、電子取引が改ざんできない

 仕組みを整えれば、紙の書類での保存が不要となりました。

 電子データそのものを税務上の証明として用いることが

 できるので、経費精算などの業務の効率化が期待されます。

 適切に運用していくためには、

 社内規定の整備やフローの確認が大事であり、

 法改正に対応したシステムの導入も欠かせません。

 まずは適用要件を確認して、導入を検討してみましょう。

 
 山口会計 山口

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