月刊 山口広記

お客様とのコミュニケーションを大切にする所長・山口の税金とお金と経営の話

会社はいくらの現預金を持つべきか?

2021-02-04

中小企業経営者から多く受ける質問の1つに、

「会社は通常、いくらぐらい現預金を持っておくのが良いのか」

 というものがあります。

 もちろん、現預金は多いに越したことはありません。

 しかし、明確な基準があるわけではありません。

【1】月商を基準にする

 よく耳にするのは

 「現預金を月商以下にしない方が良い」

 「現預金は月商の3ヶ月分は持った方が良い」

 といった考えです。

 しかし冷静に考えるとこの基準に合理性はありません。

 なぜなら、利益率の高い会社と赤字の会社の保有すべき

 現預金が同じになってしまうこともあるからです。

【2】毎月の経常支出を基準にする

 現預金の残高を毎月の経常支出の合計額の数か月分

 持つという考え方もあります。

 経常支出とは毎月の経費の支出の合計額です。

 実際に何か月分持つかは企業の判断が必要です。

 1ヶ月分ではさすがに危険です。

 何らかのトラブルがあり入金が遅れれば即資金が

 不足します。

 中小企業でも少なくとも3ヶ月分ぐらいは保有したいです。

【3】急な投資に備えて多めに持つ

 急な投資が想定される会社の場合はその分だけ余分に

 保有するという考え方もあります。

 ライバル企業が突然、大規模な広告宣伝をはじめたら

 こちらも同程度の広告宣伝が必要になるかもしれません。

 突然投資が必要になった時に、手元資金が無いと

 銀行融資に頼らなければなりません。融資には審査があるので

 実行に数週間必要な場合もあります。

 その間にビジネスチャンスを失ってしまうかも知れません。

【4】緊急事態でも事業継続できるように

 現在のように新型コロナの影響がいつまで続くか見通しが立たず、

 経済状況の先行きに不透明感が増すと、業種を問わず、

 会社としては不測の事態に備えてできるだけ多くのキャッシュを

 確保しておくことが必要になります。

 実際にはどの程度の金額が適正なのかを計算することは極めて

 困難です。

 ただ、逆の考え方をすれば、もし新型コロナの影響で

 売上がゼロになっとしたら、何ヶ月生きていけるのか?

 その事業継続可能期間を常に把握しておくことが重要です。

【5】中小企業は何ヶ月生き残れるか? 

 中小企業白書2020年版を抜粋すると、

 全産業(全規模)では1.83年となっています。

 1.83×12月=約22ヶ月

 意外と手許資金が厚いと考えられます。

 業種別に見ると、宿泊業と飲食サ-ビス業は低めです。

 宿泊業約6.6ヶ月 飲食サ-ビス業5.4ヶ月 となっています。

 これは新型コロナが拡大する前の数字です。その後の

 経済の落ち込みの影響が気になるところです。

 ただし企業は銀行などから融資を受けることができるので、

 この数値がそのまま事業継続可能期間となるわけではありません。

 まずは会社の試算表を見て、確認してみましょう。

 山口会計 山口

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