実効税率とは?
2025-08-06
法人と個人事業では納税する場合の税目が違います。
当然税率も違うので別々に考えてみます。
【1】法人の実効税率
法人税の実効税率(法定実効税率)とは、企業が負担する実質的な税率のことです。
2025年12月決算会社の実効税率は30.62%と計算されます。
本社の所在地と会社の資本金の額によって、特例等があり、
それより低いこともありますが、「東京に本社を置く大企業の実効税率」が、
30.62%となります。ただし所得が増えると少し上昇します。
(1)日本の法人が負担する税金
①法人税
②地方法人税
③住民税
④事業税
⑤特別法人事業税
この5種類の税金の税率をもとに、実効税率が計算されます。
(2)中小企業の場合
法人税の税率は原則23.2%ですが、中小企業者等に関しては
年800万円以下の部分については15%に軽減されています。
この制度は2025年3月31日で終了する予定でしたが、
税制改正では2027年3月31日まで延長されました。
中小企業で課税される利益が800万未満の場合は
実行税率は22-23%台となります。
【2】個人事業の実効税率
(1)所得税の税率(累進税率)
下記の累進税率表で計算されます。
所得が増えると税金も上昇します。
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円
(2)住民税の税率
所得割の税率は、一般的に一律10%です。
内訳は、道府県民税(都民税)が4%、市町村民税(特別区民税)が6%となっています。
ただし、政令指定都市の場合は、道府県民税・都民税が2%、
区市町村民税が8%となる場合があります。
(3)所得税・住民税の合計
所得税5%+住民税10%=15%~
所得税45%+住民税10%=55%
の間の税金になります。
個人の所得では最高55%も税金が発生することになります。
(4)個人事業税
個人事業税とは、法定業種に該当する事業を営む個人が
都道府県に納める地方税です。
税率は業種によって異なり、3~5%です。
個人事業税には年間290万円の事業主控除があります。
事業所得が年間290万円以下の場合は、個人事業税を支払う必要はありません。
個人事業税は、租税公課として経費に計上できます。
この点は所得税・住民税とは違います。
【3】法人成り
個人事業を営んでいた方が、法人化したい!
という話がよくあります。
1つの判断基準はどちらの形態の方が租税負担が少ないかどうかです。
事業の所得と上記の税率を比べて判断します。
もちろん社会保険や事業の特徴、個人の適正等も含めて
総合的に判断しなければなりません。
開業する方が、まずが個人事業で開業して
経営が順調となり利益が増えてきたところで
法人成りするケースは多くあります。
また大手上場企業と取引をする関係上
最初から法人形態を選択するケースもあります。
上記の税率や事業の状況を総合判断して最適な事業形態を選びましょう。
税理士法人だいち 税理士山口