2023年4月施行の民法改正①
2023-02-07
2023年施行の民法改正のポイントを確認します。
共有制度、財産管理制度、相続制度や相隣関係等
項目が多いので2回に分けます。
【1】不動産についての共有制度の見直し
(1)現行の問題点
土地・建物に関して所在等が不明な共有者がいる場合、
その利用について共有者間の意思決定ができなかったり、
処分ができずに公共事業や有効利用の阻害要因となっていました。
(2)共有物を利用しやすくするための見直し
①軽微な変更
売却や増改築等共有物に変更を加える場合は共有者全員の同意が原則ですが、
形状又は効用の著しい変化を伴わない軽微変更については、
持分の過半数で決定することができるように要件緩和されます。
代表的な軽微変更としては、
砂利道のアスファルト舗装や、建物の外壁・屋上防水等の
大規模修繕工事が挙げられます。
②短期(建物3年以下・土地5年以下)の賃借権等の設定
短期(建物3年以下・土地5年以下)の賃借権等の設定については
共有者の持分の過半数で決定できることが明確化されます。
ただし、借地借家法の適用のある賃借権の設定は、
約定期間内での終了が確保されず、結果として短期で終わらない可能性があるため、
基本的に共有者全員の同意がなければ無効となります。
③所在不明な共有者がいる場合
他の共有者が地方裁判所に申し立ててその決定を得ることで、
所在不明な共有者の持分を取得したり、
その持分を含めて当該不動産全体を第三者に譲渡
したりすることができるようになります。
これにより、共有者不明のためにストップしていた事業も、
円滑に進められることが期待できます。
【2】土地・建物に特化した財産管理制度の創設
(1)現行の問題点
所有者不明であったり管理不全状態にある土地・建物は、
公共事業や民間取引を阻害したり、近隣に悪影響を発生させたりする等
で従来から問題となっていました。
(2)財産管理制度の創設
①所有者不明土地・建物の管理制度
所有者不明の土地・建物について、
利害関係人が地方裁判所に申し立てて当該土地・建物の管理人を選任
してもらうことができるようになります。
管理人は、裁判所の許可を得れば、当該土地・建物を売却することも可能です。
②管理不全状態にある土地・建物の管理制度
所有者が適切な管理をしていないために他人の権利が侵害されるおそれがある
土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てて管理人の選任
をしてもらうことができるようになります。
これにより、破損が生じている擁壁の補修工事や、
ゴミの撤去・害虫の駆除等を管理人に依頼することも可能となり、
土地・建物の適切な管理が期待できます。
いずれも現実的な問題を解決するために
有効な改正です。ただし適切な手順を踏んで
実行しなければなりません。
まずは専門家に相談を!!
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