政府系金融機関融資について
2013-07-31
事業を行っている方が資金調達する場合、金融機関からの融資
を利用することが多いです。
その際、ほとんどの場合が「民間の銀行」または「政府系の金融機関」
のいずれかで申込が行われています。
今回は「政府系の金融機関」についてまとめてみたいと思います。
[1]日本政策金融公庫
業務の概要としては、「国民生活事業」・「中小企業事業」・「農林水産事業」の
3事業に区分されています。
もともとは別の機構(組織)だったものが統一され、一つの組織の中
で事業分けされたものです。
実質は、それぞれの事業は融資対象が区分されているので、最初に融資申込
を行う際はどの事業に申請するかが重要になります。
申請窓口を間違えると、相談初期の段階で融資対象にならない(分野違い)と
お断りされることもあります。
気が利く担当者の場合は、別事業の窓口に誘導いただけることもありますが、
中には何の説明も頂けない場合もあります。(実際は同じ建物の中のフロアが違う
だけの場合でもです。)
まだまだ縦割りの組織の名残があるのかもしれません。
融資を申し込む側も
「この案件はどの事業がふさわしいですか」という一言も重要になります。
各事業の概要は以下の通りです。
(1)国民生活事業
数多くの小企業への小口融資を行っています。
・融資先数は98万企業にのぼります。
・1企業あたりの平均融資残高は651万円と小口融資が主体です。
・融資先の約9割が従業者9人以下であり、約4割が個人企業です。
・創業企業(創業前及び創業後1年以内)への融資は年間1万6千企業となります。
運転資金などの融資が対象になります。
(2)中小企業事業
中小企業の皆さまの事業の振興に必要な資金であって、民間金融機関が供給することが
難しい長期固定金利の事業資金を安定的に供給しています。
・中小企業者に対する貸付け
・中小企業者が発行する社債(新株予約権付)の取得
・中小企業投資育成株式会社及び設備貸与機関に対する貸付け
・中小企業者に対する貸付債権・社債の証券化(証券化・自己型)
特に事業者の設備投資関係の融資が対象になります。
(3)農林水産事業
農林水産事業は、農林漁業や食品産業の皆さまへの融資を通じて、国内農林水産業の
体質強化や安全で良質な食料の安定供給に貢献しています。
農林漁業には、「天候等の影響を受けやすく収益が不安定」「投資回収に長期間を要する」
といった特性があり、これらを考慮した長期・低利の資金を供給しています。また、
国産農林水産物の安定供給、付加価値向上に寄与する食品産業を支援しています。
[2]独立行政法人福祉医療機構
特殊法人等改革により、社会福祉・医療事業団の事業を承継して、
平成15年10月1日に福祉の増進と医療の普及向上を目的として設立された独立行政法人です。
特に介護関係などの設備投資などの融資を対象にしています。
介護施設などの設立などの融資について日本政策金融公庫に申し込みしたとしても
「その分野は福祉医療機構が担当している分野なので融資対象にならない」
と説明されることがあります。この点も気をつけなければなりません。
(1)福祉貸付事業
民間社会福祉事業施設などの整備、充実を図っています。
融資の対象となる主な施設や事業には、次のようなものがあります。
・特別養護老人ホーム、ケアハウス、老人デイサービスセンターなどの老人福祉施設
・障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス(生活介護、就労移行支援、就労継続支援、施設入所支援等)等
・保育所、児童養護施設、障害児入所施設などの児童福祉施設
・在宅サービス事業などのシルバーサービス事業
・また、融資を受けられる方は、社会福祉法人、日本赤十字社のほか、民法法人、医療法人などです。
(2)医療貸付事業
良質な医療・介護サービスの提供を支援します。
病院、診療所などの医療関係施設、介護老人保健施設の設置・整備に必要な建築資金などを融資します。
融資の対象となる主な施設や事業には、次のようなものがあります。
・病院、診療所(一般診療所、歯科診療所)
・介護老人保健施設、指定訪問看護事業
・助産所
・医療従事者養成施設
・融資を受けられる方は、個人、医療法人や民法法人のほか、社会福祉法人、学校法人などです。
政府系の機関に融資をお願いする場合は、対象分野を確認した上で、申し込みしないと
二度手間になることもあります、この点は特に注意しましょう。