マイナンバ-の証券口座への付番について
2019-04-01
先日、閣議決定された平成31年度税制改正大綱
の中に「マイナンバ-の効率的な利用」についての
項目がありました。
あまり注目されていませんが。
逆に掘り下げてみたいと思います。
【1】マイナンバーの告知期限の延長
マイナンバー制度は2015年12月31日以前に開設された証券口座について、
顧客がマイナンバーを告知する期限として3年間の経過措置を規定していました。
しかし証券会社のマイナンバー取得割合は41.4%(2018年6月末)にとどまり経過措置
の期間内に取得するのが困難な状況です。
そこでマイナンバーの告知期限について、2021年末まで3年間延長となりました。
【2】マイナンバ-の振替機関からの提供とみなし告知
個人番号又は法人番号(以下「番号」という。)が付された証券口座に係る顧客の
情報を税務上効率的に利用できるように次の措置が講じられます。
①証券会社等の口座管理機関は、番号が付された証券口座に係る顧客の情報を
番号により検索できる状態で管理しなければならない。
②振替機関は、上記と同様の管理をしなければならないとともに、
調書を提出すべき者から証券口座に係る顧客の情報を求められたときは、
これらの情報を提供しなければならない。
【3】振替機関からの提供とみなし告知
証券会社等が番号未告知者のマイナンバーを振替機関から提供を受けて確認したときは、
番号未告知者が告知をしたものとみなす事となります。
【4】振替機関から提供された場合の支払調書への記載
みなし告知を受けたマイナンバ-であっても証券会社等は株式の税務関係の手続きに
おいてマイナンバーを法定の支払調書へ記載して税務署へ提出します。
例1 「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」
例2 「株式等の譲渡の対価等の支払調書」 などです。
【5】振替機関
ここで振替機関とは「証券保管振替機構」のことです、株券などの有価証券の保管、
受け渡しを簡素化することを目的として制定された機関であり、
日本で唯一の保管振替機関となっています。
また、略称で「ほふり」ともいわれます。
【6】行政による情報収集
今回の改正により振替機関はマイナンバ-情報を住基ネットから取得して、
それを各証券会社に提供することが可能になるようです。
当然に各証券会社等は加入者情報についての国税等による照会に対して
情報提供することになると思われます。
【7】銀行口座について
上記の取り扱いは証券口座だけでなく銀行口座についても行われます。
年金機構、税務署、社会保険事務所、市役所などが個人口座に振り込む際には
個人のマイナンバ-を付番して実施します。その際に銀行口座にマイナンバ-
が付番されていない場合には、銀行は付番することが可能となります。
【8】施行時期
上記の改正は2020年4月1日から施工されます。
まずは制度に対する正しい理解が大事です。
山口