電子帳簿保存法に対応した請求書の保存方法2
2023-05-10
本ブログの令和4年12月に記載した内容について令和5年度税制改正により
新たな猶予措置が定められたので確認します。
【1】新たな猶予措置
電子帳簿保存法には「帳簿・書類保存」「書類のスキャナー保存」
「電子取引デ-タ保存」がありますが最後の「電子取引デ-タ保存」
について取り上げます。
(1)2023年12月末までの猶予期間の対応
改正電子帳簿保存法は2022年1月1日から施行されていますが、
2023年になっても電子取引における書類の電子保存に対応できていない
事業者も多いです。
このような事業者が、直ちに法律違反になるわけではありません。
下記の要件を満たせば、2023年12月31日までの期間中は、対応が猶予されています。
①保存要件に従うことができないやむをえない事情があると認められること(手続不要)
②保存が必要な書類を書面で出力して適切に保存し、提出の求めに応じられるようにしてあること
(2)令和5年度税制改正における新たな猶予措置の適用要件
①所轄税務署長が「相当の理由がある」と認める場合(手続不要)
②税務調査などの際に電磁的記録の出力書面を提示・提出できるようにすること。
③データのダウンロ-ドの求めに応じることができること。
(3)令和5年度税制改正における注意点
出力書面の保存をもってその電磁的記録の保存に変えることは認められては
いません。電子取引を行ったら、必ずその電子取引の電磁的記録を
保存しなければなりません。
ここは2023年末までの対応と異なります。
2023年末までの宥恕規定は紙の保存だけでも認められていました。
【2】電子取引の保存に際しての「検索要件」の緩和
*** 令和6年1月1日以後にやり取りする電子取引データについて適用されます ***
税務調査等の際に電子取引データの
「ダウンロードの求め(調査担当者にデータのコピーを提供すること)」
に応じることができるようにしている場合に検索機能の全てを不要とする措置について、
以下のとおり対象者が見直されました。
① 検索機能が不要とされる対象者の範囲が、
基準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000万円以下」の保存義務者から
「5,000万円以下」の保存義務者に拡大されました。
② 対象者に「電子取引データをプリントアウトした書面を、
取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で
提示・提出することができるようにしている保存義務者」が追加されました。
【3】スキャナ保存制度の見直し
*** 令和6年1月1日以後にスキャナ保存が行われる国税関係書類について適用されます ***
(1)解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要とされました。
これらの情報を保存しておくことは不要となりましたが、
スキャナで読み取る際に守らなければならない解像度(200dpi以上)や階調
(原則としてカラー画像) などの要件自体に変更はありません。
(2)入力者等情報の確認要件が不要とされました。
スキャナ保存時に記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を
確認できるようにしておくことを求める要件が廃止されました。
(これは電子取引データ保存についても同様です。)
(3)帳簿との相互関連性の確保が必要な書類が重要書類に限定されました
帳簿と相互にその関連性を確認できるようにしておく必要がある国税関係書類が、
「重要書類(契約書・領収書・送り状・納品書等のように、資金や物の流れに直結・連動する書類)」
に限定されることとなりました。
令和6年以降は電子取引データについては必ずデ-タ保存が必要になります、
ただし細かいル-ルについては書面ですぐに探し出せる状況になっていれば
緩和される事業者もいます。(売上高基準などがあります)
あらためて確認しましょう。
山口会計 山口