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武富士元専務の贈与税裁判

2011-02-22

先週、武富士元専務が生前贈与を受けた海外資産に関する贈与税裁判の最高裁判決がありました。
結局は国側が敗訴、納付済みの税額約1,600億円に約400億円の還付加算金を上乗せして約2,000億円もの還付がなされるとのことです。
 
「外国住所の人が外国にある財産を貰っても日本の贈与税は課されない」という法の穴を狙って、
財産をオランダ法人の株式に換え、香港に生活の本拠を移して贈与するというスキームだったようです。
 
 
国民には納税の義務がありますが、納税とは「財産権の侵害」にほかならないので
明確な法律のもとに課税がなされなければなりません(租税法律主義)。
このスキームは租税回避目的であったとしつつも、法律に規定がないため課税できないという苦渋の判決だったように思えます。
 
しかし「財産権の侵害」であるからこそ「課税の公平」を追い求めなくてはなりません。
現在ではこのスキームが使えないように法の網をかけました。
結局はイタチごっこでやるしかないのかもしれません。
 
 
ところで、この還付金総額の2,000億円、自分にとっては天文学的数字で実感が湧きません・・・(汗)
歳入でいうと2011年度税制改正に盛り込んだ所得税・相続税などの高所得者・富裕層向けの個人増税全体の増収規模(2,100億円)に匹敵。
歳出でいえば、中小企業対策費(1,969億円)に相当するそうです。
このために国家が予算を組まなくてはいけない金額ですね・・・。
 
ちなみに、約400億円の還付加算金は雑所得として確定申告の対象となります。
所得税・住民税でほぼ半分税金で消えてしまいます。
 
山口会計 神庭
 

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