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欠損金の繰戻し還付制度

2009-04-17

3月27日に衆議院本会議で成立した2009年度税制改正法案の中の一つで、中小企業の欠損金の繰戻還付が拡大されました。

欠損金の繰戻還付制度とは、中小企業が赤字となったときに前年度に納めた法人税の一部を還付するという制度です。

国税庁HP↓
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_38.htm

例えば、
前年度の所得金額 2,000
前年度の法人税額 600
本年度の欠損金額 1,500
の場合は…

還付金額=600×1,500÷2,000=450
となります。

元来は欠損金は翌年以後7年間にわたって所得から順に控除していきましたが、本制度は前年度の所得金額に戻って控除され、本年度において金銭で還付されるため、資金繰り面で非常に有効に活用することができます。

適用を受けるための要件としては、
①前年度、当年度ともに青色申告書を提出していること
②当年度の確定申告書を期限内に提出すること
③所定の事項を記載した還付請求書を確定申告書と同時に提出すること
が挙げられます。

また、税務署長は還付の請求があった場合には、調査をした上で還付を行うか、請求の理由のない旨を書面で通知することになっていますので、実地調査の対象となるケースがあります。

この制度は法人税法においてのみ定められている制度ですので、事業税・住民税においては取扱いが異なります。
・事業税…通常通り欠損金の繰越し控除の制度になります。
・住民税…還付された事業年度で、還付された法人税額を課税標準となる法人税額から控除します。

平成21年2月1日以後に終了する事業年度から適用できますので、4月1日以後に申告期限が到来する会社から適用できます。

前年度黒字で税金を払っていて、本年度赤字になってしまった場合に前年に払った税金を戻せるので、資金面では非常にありがたい制度だと思います。
しかし、適用の要件も厳しく、多方面で影響を及ぼす可能性もありますので、適用しようとする際には税務署、税理士等に相談するなどして、有効に活用したいものです。

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