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【源泉所得税】敢えて毎月納付を選択する3つの理由

2012-11-21

源泉徴収した所得税は、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに
納税しなくてはなりません。
しかし、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、
源泉徴収した所得税を半年分まとめて納めることができる特例があります。
これを「納期の特例」と呼びます。
毎月納付する手間や半年分をまとめて後払いする資金繰りを考えると、
選択できる方は「納期の特例」を選択するメリットは強いかと思います。
しかし、最近お客様に説明していると、「納期の特例」を選択できるにもかかわらず、
あえて「毎月納付」を選択する方が増えてきているという印象を受けます。
そこで、あえて「毎月納付」を選択するメリットをまとめてみました。
【その1】資金繰りの平準化
 一番多い理由が「資金繰りの平準化」です。
 例えば、毎月5万円の源泉所得税を徴収しているとすると、
 半年に1回支払うとすると支払額が30万円という大きい金額になります。
 当然支払総額は変わりませんし、後払いのほうが資金繰りには有利ではありますが、
 なるべく支払いを平準化したいという理由で、毎月納付を選ぶ方が多いです。
【その2】不納付加算税がかからない抜け道
法定納期限までに源泉所得税を納付しなかった場合には
不納付加算税がかかります。
遅れても自主納付した場合は納付すべき金額の5%で済みますが、
後日税務署から税額の通知を受けて納付した場合には10%になります。
この部分に関しては、直前1年分の源泉所得税について納付の遅延をしたことがなく、
期限後1ヵ月以内に自主納付したなどの一定の場合には不納付加算税が免除されるなど大目に見てくれるような改正もありましたが、
万が一にも不納付加算税がかかってしまったとすると、結構バカにはできない金額となります。
さて、この不納付加算税の計算には少し変わったルールがありまして、
 ①課税標準が1万円未満切捨て
 ②税額が100円未満切捨て
 ③税額の全額が5千円未満であれば、その全額が切捨て
となります。
例えば、納付すべき源泉所得税が95,000円であったとします。
不能加算税を計算すると、
90,000円(1万円未満切捨て)×5%(自主納付の場合)=4,500円→0円(5,000円未満切捨て)
となります。
「納期の特例」を選択すると金額が大きくなるため不納付加算税がかかる方も、
「毎月納付」にすると金額が小さくなるため、結果的に不納付加算税がかからないということがあり得ます。
ただし遅れた分の利息に相当する延滞税はかかりますし、
期日までに納付するというのが最大の節税ですので、
この規定のお世話にならないことが一番だと思います。
【その3】ダイレクト納付で納付もカンタン
「毎月納付」の最大のデメリットである納付の手間。
それを解決してくれるのが「ダイレクト納付」です。
「ダイレクト納付」とは、事前に税務署に届出等の手続きをしておけば、
e-Taxを利用して電子申告をした後に、登録をした口座から
即時または期日を指定して納付をすることができる制度です。
詳しくは過去記事から・・・


 

払込に銀行に行かなくてもパソコン上で納付ができるので、
「毎月納付」の弱点である納付の手間をグッと減らすことができます!
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というわけで、あえて「毎月納付」を選択する理由をまとめてみました。
どちらにもメリット・デメリットがあると思いますので、
「納期の特例」を選べる方は、自らの事情に合った方法をよく考えて選択するのがよいと思います。
神庭

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