起業コラム

節税と脱税の違いとは

2020-03-30

前回は、会社が納める税金について考えてみました。
法人税の税率は下がる方向ですが、(令和1年3月現在)
それでもやはり色々な税金があり、
全て合わせればそれなりの額になります。

そこで、納める額を出来るだけ減らしたい!!
と、思う方も大勢いらっしゃるかと思います。
そんな時に、必ず頭をよぎることがあります。
それは、“節税と脱税”です。
今回は、節税と脱税の違いについて考えてみます。

まず、節税は合法であり、脱税は違法です。

例えば、消費税を例にとります。

①計算方法の変更による納税額の軽減
消費税の計算方法は2つあります。
一定の要件を満たせば、簡易的に計算することが出来ます。
ただ、設備投資が多い場合などは、
簡易的な計算方法よりも、
もう1つの原則的な計算方法の方が得になることがあります。
その場合、所定の届出書を“事前に”提出しておくことにより、
計算方法を変更して、納税額の軽減をはかることが出来ます。

②類似会社の設立解散の繰り返し
設立直後の一定規模以下の会社は、
一定の要件を満たせば、
設立当初2年程度の間は、消費税を納める必要がありません。
そのことを悪用し、消費税を納めなくて済むように、
2年ごとに会社の設立解散を繰り返す方法です。

①は節税ですが、②は脱税とみなされます。
それでは、①と②のどこが違うのでしょうか。

①の計算方法を選択することは、
納税する側に、法律上認められています。
法律上認められた範囲の中で、
有利な方法を選択することは、
あらゆる会社が行っていることです。
それに対して②は、
税金を納めなくて済むようにするために、
本来あるべき会社の姿が不自然な形になっています。

設立から2年程度経過すると、
消費税を納めるようになる会社は多いです。
そのような会社と、
税金を納めなくていいようにするために、
不自然に設立解散を繰り返す会社の
両方が存在していては公平ではありません。
このような場合は、税務署も、
悪意アリ、なおかつ、
実際は同一の会社であったとみなして、
脱税であると判断する可能性が高くなります。

とは言え、多くの納税者や税理士が、
税金を減らす方法を考えようとします。
その全てに節税か脱税か白黒つけるのは、難しい場合が多いです。
公平性や悪質性の有無など、
あらゆることを検討して判断する必要があります。
結局、訴訟や裁判となるような事例も少なくないのが現実です。

また、せっかくの節税も、
時間的な制約によって、
決算間際では間に合わない場合もあります。
やはり、常に先を見越した、
余裕を持った経営を心掛けたいものです。

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